2015年の3月。
私が、400万円を超える持ち出しをしてまで新たなレースを始めるといったら、まわりは皆、バカだと笑いました。
でも、今年の最終戦。
大勢の参加者が集まり、すべてのポンダは出尽くし、川西のスターティンググリッド一杯にライダーが並ぶのを見て、私は・・・
・・・実は「嬉しさ」と、「悲しさ」の両方を感じていました。
この異なる2つの気持ちが湧いたのは
何故でしょう・・・?
「ペイフォワード」
受けた恩を次の誰かへ
もちろん、儲けるために始めたレースではありません。
10代の少年時代にモトクロスで受けた恩を返すために始めたレースです。
数が減ってきているモトクロス人口を、再び昔みたいに増やすーという恩返しために。
恩返しの活動は、このレースの主催がはじめてではありません。
10年前に、ライダー復帰して以来、ずっと行って来ました。
震災時は全国のライダー仲間からの支援物資を運ぶ「ありんこ支援隊」、そして地元出身のトライアルIA-S選手への協賛サポートや、モトクロスのIAルーキー、ゼッケン04番の高輪選手のサポート、そして昨年までは地元キッズレースの広報のお手伝いや、モトクロス初参加の方へのマシン貸与や援助サポートなど。
自分に出来ることを、出来る時に、できる範囲で、行ってきました。
・・・でもそれは、言いかえれば、片手間で、責任もなく、するもしないも、自分勝手な恩返しでもありました。
人生の節目を迎え
私は今年で50歳となりました。
昔から「人生、50年」といわれて来ましたが、その歳になりました。
ある意味人生の折り返し地点に立ったと思いました。
そしてそれがきっかけで、これ以後の人生、片手間でなくマジメに「恩返しとペイフォワードの活動」を行おうと決めました。
これまでは自分自身の私費だけで活動の資金を捻出してきました。
しかし、今年、会社の登記を書き換え、「ATR(アトラスレーシング)」という部門を付け加えました。
そこで、最初に書いた400万円の資金を負担して、ポンダを用意し「Rookies-X」というモトクロス普及の為のレースを始めたのです。
まわりの皆には「バカだ」と、笑われました。
税理士からは 「会社は営利を追求する為のものです!」と怒られました。
でも私は答えました。
「このATR部門は社会貢献活動のために作った部門です。利益を取るつもりは一切ありません」
そして付け加えました。
「会社は営利を追求するだけでなく、社会にどれくらい役に立つかも追及するべきものなのです」と。
つまり、アトラスという会社の中にNPO法人(非営利団体)のような部門を作ったわけです。
一つ大きく異なる点は、通常のNPO法人が寄付やパトロン企業からの資金で賄われるのに対して、
「ATR」は「アトラス自身」が資金を負担するパトロンだという点です。
こう書くと、反論がある方がいるかもしれません
「Rookies-Xでは、ちゃんとエントリーフィーとして、お金を集めているじゃないか!」と。
確かに頂いています。
しかしご存知の通り、「Rookies-X」は一般的なレース参加費の「半額以下」の設定です。
理由は、ファミリーで、お父さん、お母さん、そして子供さんの家族全員が参加しても、負担にならないように、という設定です。
より多くの方にモトクロスの魅力を知ってもらう事が目的なのですから。
当たり前ですが、「採算」など度外視です。
今年4戦行いましたが、参加費は合計で40万円にも届きません。
年12戦やっても、採算は取れません。(取るつもりもありませんが)
逆にいえば、やればやるだけ赤字=持ち出しが増えるだけなのです。
そうなんです。
私たちアトラスが持ち出しをして、毎回開催しているのです。
それをご理解頂いたMFJ新潟と川西モトクロス場にもご協力頂いて、コース費も安くして頂きながら、毎回ブルまで入れて頂いています。
何のために、そこまでやるのか?
すべては、私たちのポリシー、この「ペイフォワード」のポリシーを次の誰かに手渡すため、そして、広めてほしいからなのです。
このポリシーに感銘し共感し、賛同して頂いた皆さんに、普及活動の宣教師になってほしいからです。
私たちが目標とする、モトクロスとモータースポーツの普及と競技人口増加の為に、活動してほしいからなんです。
その夢と目標のため、そんなお金を持ち出して活動をしているのです。
・・・でも、最終戦、シーズン最多の大勢の参加者が集まっていながら、私は暗い気持ちになっていました。
1戦1戦重ねるたびに、「実は、ポリシーが伝わっていないのでは?」
そう感じる事が多くなっていたからです。
ただ「安いから」、
ただ「楽しいから」、
もし、それだけの理由で集まっていたら、いくら参加者が多くても、持ち出しをしてまで開催しても、意味がないのではないか? と。
私たちアトラスが、心血注いで仕事をして稼いだお金を投入して、持ち出してまで開催していてもその私たちの信念を理解して、賛同して、
「活動に協力しよう」
「自分たちも活動を広めよう!」
そう思ってくれる方がいなければ、レースは全く意味をなさない と感じたからです。
私たちが多大な負担をして開催している「Rookies-X」が、スーパーの100円タマゴのような単なる「激安の特価品」と思われ、もし、それだけをカゴに入れて「得した、儲かった!」と持ち帰っていたら・・・?と。
参加者が増えることだけが「Rookies-X」の成功ではありません。
この大会に参加したことで、今まで考えたこともなかった「恩返し」や「ペイフォワード」の精神を受け取って、それを持ち帰ってくれる参加者が増えることが私たちの幸せなのです。
そして、その精神を地元に持ち帰り、競技人口が増えるための活動や、時には私費を出し合ってコースを作ったり、クラブを作ったりとそんな活動がネズミ算的に全国で増えてほしいと願っているのです。
それができなくても、参加した感想やレポート、そして、この大会のポリシーを広めようとブログやFaceBookに書くだけでも、それは宣教師としての普及活動にもなるので、私たちは嬉しいのです。
すべての参加者が、ペイフォワードの精神を広める普及活動に「ご協力いただける人」になって頂けたら、それが嬉しいのです。
そして、そういう方々でスターティンググリッドが一杯になった時、私はその様子を見つめながら、今度は、心からの笑顔で、「このレースを開催して良かった!」と思えるのだと判りました。
そして、私は一つの決断に至りました。
来年の開催について考えた結果、ポンダは増やさないと決めました。
きっと、今年と同様に広く門戸を開いていれば、来年は更に参加者が増えると予想されます。しかし、繰り返しになりますが、この大会は大勢が集まれば良いという主旨のものではありません。
モトクロスやモータースポーツの普及を目的とする私たちの活動にご協力下さる意思のある方、また同様にペイフォワードの活動に賛同するMXOBやベテラン選手の方々、そして各地で普及活動をされている方々と、そんな方々が連れて来てくださる、「初めてのモトクロスレース」に挑戦するためにルーキーズに参加してくださる方々。
これらの方々に対して50台限定で参加を受理し、ペイフォワードの精神で普及活動を行う仲間を増やす大会として開催していくと決めました。
そして、ここで一つ、お願いがあります。
私たちの活動に理解・賛同してくださる協力者の皆様へお願いです。
Rookies-Xの存続のために「支援」をしてほしいのです。
カンパや募金を募るわけではありません。
皆様の支出や負担を抑えたレースを行うために、その皆さんから余計な支出をさせては本末転倒ですので、余分な負担はさせません。
「今、どこかに払っているネット料金」で支援してほしいのです。
今より確実に安くもなり、そして「アトラスへの支援」にもなりますので。
Special Thanks
「アトラス光」にプロバイダを切り替えてくださった賛助会員の皆さま
- 村木様(新潟市)2軒
- 塩川様(東京都)
- 藤川様(新潟市)2軒
- 保坂様(十日町市)
- 西潟様(三条市)2軒
- 鈴木様(五泉市)3軒
- 高輪様(茨城県)
- 大木様(千葉県)
- 奥津様(東京都)
- 奧田様(神奈川県)2軒
- 佐藤様(新潟市)
3000円 × 17軒様
まずはともかく「協力するよ〜」「やり方を教えて」とお電話をください。
電話にはほとんど諏佐(@BOSS)か「かまた」が出ます。不明なことは何なりとお聞きください。